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2009年07月14日
広々とした道路をひっきりなしに走り抜けてゆくオシャレな外装のトラック、
海の匂いのまざった風にそよぐ、夏を彩る草花アガパンサス、広い店内とテーブル席、音のない静かな午後・・・。
外国の片田舎のレストランでのんびり過ごしているような気分になれる。そうだ、4,5年前に行ったサイパンを思い出すノスタルジー溢れる店内。
ここは、ヨコハマがもっともアメリカンな町だった頃の面影をとどめている知る人ぞ知る、知らない人は知らない、穴場的な存在のレストラン。本牧埠頭の入り口に建つ船乗り達の施設、その名も<シーメンズクラブ>。※みなとみらいにも<シーメンズクラブ>があるが、ココとは“よさ”がまったく違います。
ミナトヨコハマの中心部にあって、ドライブがてら駐車料金も時間も気にせず、すんなり入れるレストランはとても貴重な存在だ。
家の中での勉強に飽きて外へ出たがる子供を連れ、気分転換にドライブを・・・。
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重たい雲の切れ間に覗く太陽を追いかけて、車をみなとみらいから東の突端本牧埠頭まで走らせてみる。カマボコ兵舎もフェンスも米軍住宅も“本牧リンディ”も夢の跡だが、かつてのバンド(海岸地帯)に沿ってドライブするのはいつの日も気持ちがいいものだ。
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海岸通りをひた走る途中、どうしても寄らねばならない所がある。
<ゾウの鼻パーク>の“ゾウさんソフトクリーム”を売る喫茶室だ。
普段あまりソフトクリームは食べない私でも、この“ゾウさんソフト”はトリコになっている。とくにサクサクとして風味のよい“ワッフル耳”でミルクたっぷりのクリームをすくい取って食べるのがたまらなくオイシイ~~~!加えてフリフリのコーンカップのお味もグッド~~!
“開港プロムナード”や“大桟橋”、“日本大通り”散策の楽しみがまたひとつ増えた。
車上の方も、何か冷たいものが欲しい夏・・・そんな時、キーンと冷えたビールはダメなので、新・ヨコハマ名物“ゾウさんソフト”を片手になめなめ運転すれば、ドライブも二重に楽しい夏の思い出になるだろう。
シーンは再び“シーメンズクラブ”店内へ。
私は若かりし頃、山下公園でアラブの船乗りにさらわれそうになった苦い思い出があるので、船乗り施設=コワイ人達の溜まり場、という先入観があり、夫にそれとなくうかがうと、「夜は行かないほうがいい」という。そういわれると「生まれつきの怖いもの見たさ根性」が働いて、よけいに興味深々となる私。・・・で、夕方少し前、<シーメンズクラブ>の扉を押し、突入した。
子供の第一声が「ママ、ぜんぜんこわくないじゃない。」
・・・そう、お客のいない時間帯だったこともあり、拍子抜けしてしまうほどあっけらかんと、明るい店内だった。一見、アメリカのファミレス風。
もし扉を開けた途端、ほの暗い中央奥のバーカウンターから、忘れもしない白いターバンを被った大入道のような船員たちがいっせいにこちらを向いたりしたら、そのまま逃げ帰ったであろうが、もはやそんな時代は遠ざかったと見え、すっかり私達親子は明るい窓際席に陣取り、落ち着いたのだ。
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もと将校クラブにお勤めというエキゾチックなラテン系ファッションのウェイトレスさんとおしゃべりしたり、UFOキャッチャーがやりたい子供に、むりやり英文字の練習をさせ、きちんとできたら一回分の料金をやる、という方式で勉強もさせ、ほとんど人気がない広い店内の、珍しい店内の装飾品や、今年中に博物館入りするという“ピンボール”ゲーム機や、時代を感じる内装を写真に撮ってまわったり、(スーベニールショップを覗いたために子供にピンヒールのついたビーチサンダル(アメリカ的?)やパッケージの可愛いフィリピン製チョコレートドリンクを買わされたり、まるでサイパンに行った時とすっかり同じ状態になってしまった。
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室内卓球台と外にはテニスコートもあり、「やりたい」と言い出す子供に「明日もきちんと勉強ができたら」と、また明日来る約束までさせられた。
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オススメメニュー料理はもちろんオープンハンバーガー、(すごくダイナミックな“元祖アメリカ”を感じるオープンスタイルで、片方にハンバーグ、片方に輪切りトマトと生の分厚い輪切り玉ねぎが乗っている。ステーキもシーフードフライも、サラダにおつまみアラカルトも丸ごとアメリカ。固いことは抜きにして“アメリカ”を味わおう。
―と思ったが結局子供は今日はグリルハムトーストがいいと言い、私は何故かナポリタンをオーダーした。
この店のナポリタンはきっとかなり懐古的スタンダードな味に違いないと確信したからだ。
やはり、学生の時以来食べていない、完璧なまでに当時と同じ味付けのナポリタン!!
私の学生時代は外食でスパゲッティというとたいがいナポリタンか、ミートソースの二者択一式だったのだ。
その時代の懐かしのナポリタンをフォークに巻き付けながら、数日前 なんと中学の“クラスメイトの男の子”と再会したことを子供に話して聞かせ、その「男の子」が当時から少女達のアイドル的存在で、長じてギタリストになり、シンガーソングライターの白井貴子さんの夫になり、私と彼は先日パシフィコで再会して、「ぜんぜん変わってない」「クラスメイト同士」二人並んで写真に納まった。―とデジカメの中の二人の写真を子供に見せると・・・
―そ・・・それってもしかして“自分”も“シーメンズクラブ”も、“ナポリタン”も、同類項的仲間ってことか?
目の前の子供が気持ちよさそうに飲んでいる“セブンアップ”という名の、レモンとライムをミックスさせたアメリカらしい白いジュースの細かい泡の中に、私のささやかな自尊心も溶けてゆく。
・・・さて、明日はこの子にどうやって勉強をさせようか? 子供とバトルしながらのんびり過ごす<シーメンズクラブ>のアメリカ的な夏。
テニスの後のビックなハンバーガーはさぞ美味しかろう・・・と想像する。
海には波間を漂う涼しげなクラゲ達、異国情緒の積み込まれた倉庫街、森林公園、
疲れを癒してくれる海釣り公園やシンボルタワー、市民プール・・・そして、
本牧にアメリカがあった当時のまま営業している広くて大きな<シーメンズクラブ>。
子供と気ままな夏を過ごす場所として、車で行く本牧や根岸は最適かもしれない。